Music Diary
[ 2006.04.27 ]
ビッグバンドの大波がやってきた(No Name Horses)
日本は今、ビッグバンド大国なんです。一見、という但し書きつきですが。
新旧とりまぜ多種多様。秋吉敏子さんはビッグバンドをたたまれ(スモール・コンボでの活動に専念される宣言をされ)ましたが、それでも日本人には和を尊重しなければならないビッグバンドという編成があうのでしょうか。素晴らしいバンドが多いんです。
まず大人気の小曽根真が率いるノー・ネイム・ホーセズの名前を挙げることができますが、このビッグバンドのなかに、小曽根さん以外にも、自分のビッグバンドをもっているプレイヤーが3人もいるんですね。わたしもお気に入りの、三木敏雄(ts)率いるFront Page Orchestra。エリック宮城(tp)のEM BAND。小幡光邦(tp)率いる、KUNIZO BIG BANDがそれ。すごい確率でしょ。
他にも藤井郷子のビッグバンドも素晴らしいし、モンク・コンペティションの作曲部門で優勝した、守屋純子率いるJunko Moriya Orvhestra。角田健一ビッグバンドは「一筋!」という姿勢といい、熱意といい秀逸です。
あ、熱帯JAZZ楽団も、まごうことなきビッグバンドですよね。
またシンガーのビッグバンドとの共演作も、ノー・ネイム・ホーセズ結成の動機となった、伊藤君子さんの作品を皮切りにふえているんですね。元アイドル、まきみちるは『マキズ・バック・イン・タウン』でシナトラのレパートリーを、パンチのある歌声をエリック宮城のオールスター・バンドにのせて録音。チャリートも新作をビッグバンドとレコーディングしてきたと言っていました。
映画「スイング・ガールズ」効果もあって、アマチュア・ビッグバンドも増えています。
でも、その実、プロは大所帯を維持する経済的な難しさから、優れたビッグバンドでも年に数回しかステージに立てないのが実情なんですね。ところが、小曽根真率いるノー・ネイム・ホーセズが作年の春に引き続き、1ヶ月にわたる全国ツアーを成功させたのですから、画期的なことだと思います。
わたしは、3月20日、ブルーノート東京に見に行きました。
観客動員力をもつビッグバンドというのは、やはりどこをとっても優れていました。曲、編曲、スウィング、ハーモニー、各メンバーの腕と個性。そして必要なときには、その個性を消して、アンサンブルを尊重する謙虚さ。このビッグバンドはそのどこにも不満に思うところがないんです。
2004年の結成時より、演奏がこなれ、楽しさが主眼のバンドに成長していたことも大きかったです。それがたゆまぬ努力とハードな練習の成果であることは、観客に知らせるまでもない。そういった心意気も聴こえてきました。実際は、ハードな練習と宿題で、大変なんだそうですけれどね。
野球でいえば、WBCの日本代表のような本バンド。まとめる小曽根さんも、並大抵ではないと思いますよ。リーダー、ピアノ、オルガン、指揮と1人4役をつとめたんですから、どう考えても大変だったと思う。でもその努力と志に、拍手をおくったのは、言うまでもありません。
演奏はすべて楽しみましたが、たとえば小曽根ザ・トリオでの録音もある〈スリー・ウィッシズ〉では、幾重にも重なるサウンドの面白さが、ケーキでいえばまるでミルフィーユでした。基盤となった、リズム・セクションの笑顔のスウィング。ハイ、このNY在住トリオから、笑顔が消えることはありません。(それが日米の居住地の、もっとも大きな違いだったかしら。)
エネルギーにみちた三木敏雄(ts)や岡崎好朗(tp)のソロ。ホーン・セクションの歯切れのよさ。大編成をいかした終盤の迫力ある盛りあがりには、観客もビッグバンドと一体になりました。
聴き手の耳を集団で愛撫した「ユー・アー・ノット・アローン」では、やわらかな手触りのサウンドを届けてきました。
中川英二郎(tb)が書き、2トロンボーンでその楽器の真髄を聴かせた「T・フォー・2」。またエリック宮城が軽快なアレンジをした「ストリート・オブ・ドリームス」と、メンバー参加型が推進されていたことも高く評価しいですね。と同時に、それがビッグバンド・サウンドの魅力を多面的に紹介する助けになっていたんです。
う?む、佳いことは、佳いことを呼びますね。これからも、ノー・ネイム・ホーセズにも活動を続けてもらいたいし、日本のビッグバンドの底力を海外でもっと紹介できる機会が増えればいいと願っています。
その小曽根さん、4月にはNYでレコーディング。これは今年ザ・トリオが結成10周年にあたるので、その記念ベスト・アルバムのために(7月末発売予定)、新録音を3曲レコーディングしたということです。
続いて、5月5日には、なんとモーツァルトに本格的に取り組むコンサートが開かれます。
今年が生誕250年にあたるため、世界各地でモーツァルトの音楽を演奏するコンサートが開かれていますよね。夏のザルツブルグ音楽祭が、ひとつのハイライトでしょうか。
日本でも4月29日から4日間、「熱狂の日」音楽祭2006(主催:東京国際フォーラム)で、200公演が行われるのですが、小曽根さんのコンサートもその一環。
他にも、マスタークラスでは、出演演奏家が若手にモーツァルト演奏の真髄を教える試みや、絶筆「レクイエム」を、異なるヴァージョンで聴き比べるコンサートもあって、興味をそそります。
ファンの方々、ここは性根を据えて、小曽根さんに声援をおくりましょう。では、ご一緒に!
「がんばって?。楽しみにしていますから?」

No Name Horses
「NO NAME HORSES」
ユニバーサルクラシック
UCCJ-2043
2006/1/18発売
※ 権利者の許可を得ずに、複製することを禁じます。

鯉のぼりを飾ってみました。







