Music Diary
[ 2009.02.04 ]
上原ひろみ、三冠王のDVD
1月16日に、スイングジャーナル社主催、第42回ジャズ・ディスク大賞の授賞式がありました。
わたしは今年も選考にあたったほか、司会の大役をつとめさせていただきました。
今年の受賞で、リマーカブルだったのは、上原ひろみの三冠王です。ジャズ・ディスク大賞金賞を自身のグループ、ヒロミズ・ソニックブルームによる『ビヨンド・スタンダード』で受賞。日本人の受賞は、この13年間で初めてのことでした。
そして、チック・コリアとの2台のピアノによるデュオ・アルバム『デュエット』が制作企画賞に、また最優秀ジャズ・ビデオ賞を『ヒロミズ・ソニックブルーム・ライヴ・イン・コンサート』が受賞。計3部門で栄冠に輝いたのです。
これは、同賞史上、初めてのこと。今の上原がどれほど輝いているか、という証左でもありますね。
ひろみちゃんは、授賞式で、謙虚に喜びを語っていました。
「これからも、ピアノにむかい、心を込めて演奏をしていきたい」
そう語る彼女のことばが、誓いにも似た、決意がこもっているのを感じました。
さて、今日は、最優秀ジャズ・ビデオ賞を受賞した『ヒロミズ・ソニックブルーム・ライヴ・イン・コンサート』のお話を。
上原ひろみの映像作が2作発表された2008年。同賞では、2007年にライヴ収録された『ヒロミズ・ソニックブルーム・ライヴ・イン・コンサート』が受賞しました。もう一方の作品も、トリオでの一体感がすばらしいのですが、撮影時期に2年の差があります。その間の上原ひろみの成長の結果ですから、当然の受賞結果だったと思います。
このソニックブルームは、トリオではなく、ギタリストのデヴィッド・フュージンスキーが参加しています。日常のすべての時間を、音楽のために使う上原ですが、ライヴを観に行くこともその日常に組み込まれています。
フュージンスキーとの出会い、彼のすばらしさを目を輝かせて語った上原の表情を、わたしは今も鮮明に覚えています。
一見すると、フュージンスキーの音楽性は、上原のそれとは異なるものです。でも、この映像作品で見ると明らかなように、それこそが上原が目指したところで、彼の存在がバンドのキャパシティをぐっと広げているのですね。「フランク・ザッパの音楽に最も強く共感する」と語る上原の音楽的趣向を充たしてくれるのが、このフュージンスキーなのです。
彼のギターは視覚的インパクトをもっていて、上原とフュージンスキーの視線の交差や4人の音楽的会話が興味深く、全体的にも、ディテールとしても楽しめる映像作品になっています。
上原ひろみの炸裂する笑顔、それはメンバーの音の的確さに対してはじけることが多いのです。そんな彼女の姿そのものが、ピアノへの愛、ジャズへの献身の具現なのだと感じます。
運指の面白さやピアノでのダイナミクスに充ちた表現、バンドの一体感・疾走感も見事ですが、それ以上に上原ひろみの無垢な笑顔にふれるとき、観る者が大きな喜びにあふれるのだと思います。
2009年も、大忙しのひろみちゃん。授賞式に出席した後、またアメリカへと旅立っていったのでした。今年も、活躍が期待できそうですね。そう、今年は、ぜひオリジナル曲でのアルバムを、お願いします。

上原ひろみ
『上原ひろみソニックブルーム・ライブ・イン・コンサート』
ヤマハミュージックパブリッシング
発売日:2009年1月30日
収録日:2007年12月9日東京国際フォーラム
上原ひろみ
『上原ひろみライブ・イン・コンサート』
ヤマハミュージックパブリッシング
発売日:2009年1月30日
収録日:2005年12月2日品川ステラボール
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