Music Diary

[ 2010.05.27 ]

市原ひかりグループ『Move On』

5月24日、六本木Alfieに、市原ひかりグループを聴きに行きました。

女性トランぺッターとして、人気がうなぎ昇りの市原ひかり、第5作になる『Move On』。
そこからは、彼女の意欲が聴こえてきました。
ミュージシャン・シップが聴こえてきました。
そしてバンドとしての一体感と愉しさが伝わってきたのです。
そんな、うれしさに溢れながら、『Move On』を聴きました。

ひかりちゃんから、市原ひかりへ。
それが、また今作から「市原ひかりグループ」へと進化をとげた。
今後はバンドとして活動していくことを宣言した彼女に、その経緯を語ってもらいました。

「『Move On』とは、『さぁ、新たな気持ちで先に進もう』という今のわたしの心境から命名したものです。
レコーディングと同じメンバーでライヴ、ツアーを重ね、バンドでこの新作を作ってきたという実感もあります。
ですから、名義も今までのわたし自身の名前から、市原ひかりグループと変更しました。

各人の個性もかなり発揮され、その個性が集まって他にはないバンドの個性になっているのではないかと思います。

今作は、スタンダードの〈エヴリシング・ハップンズ・トゥ・ミー〉をのぞいて、すべてわたし(7曲)かメンバー(2曲)のオリジナル曲でアルバムを作ることができました。

実は、1年近く曲が書けなかったのですが、このメンバーがそろい、彼らの顔を思い浮かべたら曲が浮かんできたんです。
だから、今回のわたしの曲は、メンバーが書かせてくれたと言っても過言ではありません」

メンバーの多くが'80年代生まれの同性代。
そのジャズにフレッシュな魅力があるのは、それぞれが伸びやかな音色と広い音楽的視野もっているからでしょう。

自由な雰囲気があって、それがディスクを聴いていても伝わってきますし、Liveでは尚更です。
お互いに相性がいいこともあると思います。バトルにはならずに、それでいて丁々発止としたやりとりがある。
ひかりちゃんもリーダー然としていなくて、バンドの一メンバーとして臨み、演奏している。
いい雰囲気なのです。そして、楽しい!
       ◆       ◆       ◆

わたしはデビュー時から市原ひかりの作曲力に注目してきましたが、「自分のバンド」を結成し、彼女の曲想も変化しました。
作曲面でのスランプから脱出し、ついに書けた〈梅雨明け〉。
〈やみくろ〉は読書好きな彼女ならではの想像力をかきたてるナンバーで、現実と比現実を調和させようとする彼女の創意工夫が聴こえてきます。

ここには、「バンドがいいと、曲がつるつると書けます」という市原ひかりがいて、曲がそれぞれのミュージシャンがもつ個性に光を当てている。
そして、その光がまたひかりを照らし返すという、すてきな連鎖反応が起こっています。
それこそが、バンドの醍醐味なのです。

このバンドで4月からスタートした全国ツアーは、年内続くでしょう。
そのなかで、新曲も生まれ、次作につながっていくのでしょう。

格段にいいですからね、同じ曲やっても今の方が!
今のひかりグループで、ディスクを聴きたくなってしまいます。
       ◆       ◆       ◆    
『Move On』なLiveは、市原ひかりのトランペット/フリューゲルホーンと、浅井良将(as)との2管の相性の良さが宝物。
2人とも、遠慮をしていないのに、ぶつからない。
すてきに重なる。これ、不思議。

その浅井と中林薫平(b)は、神戸・甲南つながり。
安藤正則(ds)も神戸出身で、このバンドの開かれたフレッシュな魅力は、神戸がひとつの隠れキーワードなのかもしれません。

堀秀彰(p)の歌う力も素晴らしく、市原ひかりの演奏も以前とは異なり、自己がしっかりと確立されています。自己が確立されると、主張しすぎないのが、これまた不思議。

彼女のオリジナルがたいへんいい上に、メンバー間の相性の良さも、ほ〜れ、この通り!
市原ひかりグループの今後を、どうぞお楽しみに〜

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Hikari_Ichihara2010.jpgジャケット写真にも使われた元写真 photo by 米谷享

PCCY.30157s.jpg市原ひかりグループ『Move On』(ポニーキャニオン)

IMG_0385.JPGAlfieでひかりちゃんと。

IMG_0380.JPGアルバムのジャケット他を撮影された米谷さん(L)とデザインをされた北川正さん。3Gなもので、闇夜状態で申し訳なさすぎ。