Music Diary

[ 2009.11.04 ]

Stingの『ウィンターズ・ナイト』

声がでなかった間、(音楽も控えていたので)聴きたかったアルバムのひとつに、スティングの新作『ウィンターズ・ナイト』があります。

2曲目に入っている〈ソウル・ケーキ〉の、「ソウル・ケーキ、ソウル・ケーキ」というリフレインが、頭のなかを回っていたのです。
ええ、回転寿司のように、ケーキ皿に乗ってw

ハロウィーンのときに、精霊に捧げるケーキをソウル・ケーキとよぶらしいのですが、スティングがキリスト教的なクリスマスだけではない、ケルトの、そして太古から伝わる「冬至」の祭りに思いを馳せてこの作品を作ったことが伝わってくる歌なのです。

ソウル・ケーキ、ソウル・ケーキ。
     ◆       ◆       ◆
この『ウィンターズ・ナイト』は、今シーズン最高のクリスマス・アルバムだとの評判も高いのですが、スティング本人は、こんな風に作品を語っています。

「いや、正確には、今作はクリスマス・アルバムじゃないんだな。
より広がりをもたせたいと、"冬"のアルバムを作ることにしたんだ。

ぼくは冬をインスピレーションに充ちた季節だと感じていて、とても好きでね。
ありきたりのクリスマス・ソングは、苦手だよ。だって、〈ホワイト・クリスマス〉を歌いたくはないものw。

その替わりにケルトのフォークソングや、クラシック、自分の書いたオリジナルから選曲し、そこにキャロルをまじえたら、ぼくの冬への想いがこもった作品になった」

スティングがいうのです。
「あえて、このアルバムでは"家族の和"、"陽気で楽しいクリスマス"という既存のイメージを避けたんだ。
そして、代わりに"冬の内省的な面"を前面にだした」

音楽的には、フィドルの賑やかさ、ホルンの響き、ケルティック・ハープの清らかさと、楽器編成と演奏が見事で、近年のスティングのクラシックへの接近が、ここでひとつの実を結んだといっていいでしょう。
スティングの声も、低音域がかなりでるようになり、彼自身の精進もみてとれます。(あまり無理しない、ふつーの音域の方があっていますけれどね)

バッハのチェロ組曲第6番をベースに、スティングが歌詞をつけた〈ユー・オンリー・クロス・マイ・マインド・イン・ウィンター〉、そしてオリジナルの〈ハウンズ・オブ・ウィンター〉は2曲とも幽霊の物語だそうで、さすが幽霊好きのイギリス人ですw。

そういう、ちょっと怖いのが、冬の夜であり、それがいいんだと、スティングはいうのです。

部屋のなかの暖かさだけではない、冬への怖れをも想起させるこのアルバムは、聴き手を内省的な旅へと誘います。

わたしも、そんな内なる旅の途中です。
ええ、『ウィンターズ・ナイト』の音楽もお供に連れて、旅を続けます。

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UCCH-1028.jpgスティングの新作は、冬を題材にした『ウィンターズ・ナイト』 (ユニバーサル クラシックス&ジャズ UCCH-1028)

Sting_2009_04_(メイン).jpg ©Tony Molina / UNIVERSAL MUSIC