Music Diary

[ 2008.10.31 ]

Take 6のスタンダード集があったかスゴい

 ア・カペラ・コーラス・グループ、TAKE 6の新作『ザ・スタンダーズ』が、ファン待望のスタンダード・ナンバー集として完成しました。どんなジャンルの歌でも見事なハーモニーで歌える彼らだからこそ、永きに渡って愛されてきたスタンダードへの挑戦は、どこまでTake 6 らしさが出せるかという挑戦でもあります。
 完璧なハーモニーを誇り、その巧さではア・カペラ界でも群をぬく、この男声6人のコーラス・グループ。さて、どんな趣向でスタンダードを料理したのでしょうか。

 TAKE 6らしさをだす工夫は、この『ザ・スタンダーズ』では、超絶技巧をちょっと横において、ソングの楽しさを届けることに主眼がおかれたようです。といっても、もちろん鉄壁のハーモニーは変わらないのですが、それをあえて見せないという選択がなされた模様。テクニックのスゴさ以上に、楽しく温かい作品になった、というわけです。
 これは、寒くなっていく時季に、格好の作風ではありませんか

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 オープナーの〈スウィート・ジョージア・ブラウン〉は、あえて口笛が主役。
 〈セヴン・ステップ・トゥ・ヘヴン〉では、ジョン・ヘンドリックスにアル・ジャロウという大御所シンガーが参加して、世代を超えた歌の饗宴が繰り広げられます。そこにドイツのトランぺット奏者、ティル・ブレナーも加わって、まるでクリスマス・パーティのような楽しい華やぎを感じさせるのです。

 〈サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー〉はガーシュウィン兄弟が1926年に作詞・作曲したナンバーですが、ここではバンドをバックに、ゲスト・ヴォーカリストにシェリー・フレイジャーを迎えて、Take 6 はバック・コーラスにまわっています。そして両者で、ソウルフルに盛り上げていくのです。そのコーラスの粋なことに、魅せられました。
 ゲスト・ヴォーカリストといえば、〈ドゥ・ユー・ホワット・イット・ミーンズ・トゥ・ミス・ニューオーリンズ〉では、ネヴィル・ブラザースのアーロン・ネヴィルを迎え、これは極上の共演。アーロンの高く、独特のヴィブラートをもった歌声が好きなもので、そう思うのかしら。7人で、ネヴィルズの故郷でもあるニューオーリンズへの讃歌を歌い上げています。

 極めつけは、今は亡きエラ・フィッツジェラルドとヴァーチャル共演をした〈ア・ティスケット・ア・タスケット〉です。若き日のエラをスターダムにのしあげたヒット曲ですが、エラの歌も初期はまだまだ荒削りで、パンチ勝負なのが面白いのです。そこにバック・コーラスをつける6人組が微笑ましく、時を超えるスタンダードのマジックを、二重に楽しめました。

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 Take 6 が初来日した時に「ぼくたちは、神の意志と信仰の喜びを伝えたくて歌っています」と、明言していました。そういうことを話すミュージシャンに、それまで会ったことがなかったので、少しくすぐったく、またそれ以上にまぶしくて、彼らの澄んだ瞳を見つめ返したものです。
 その初来日時には、すべてのコンサートに先駆けて、代官山のバプティスト教会でチャリティ公演が行われました。わたしも招待していただき、埋め尽くす信者さんと一緒に聴いたのですが、教会での伸び伸びした、そしてどこまでの真剣な彼らの歌声に接し、そのことばが全身全霊からでたものだと知りました。
 その使命感を揺るがせることなく、活動を続けてきた彼ら。グラミー賞10回受賞も、Take 6なら当然のことだと思えます。そのくらい毎回アルバムも、ライヴも、クオリティが高い。
 その音楽の質の高さは、彼らの志の高さと連動していると思えてならないのです。

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Take6
『ザ・スタンダード』

ユニバーサル ミュージック株式会社
UCCT-1206
2008年9月24日発売
※ 権利者の許可を得ずに、複製することを禁じます。