Music Diary
[ 2010.10.13 ]
ヘイリー・ロレンvoの魅惑
ヘイリー・ロレンの歌声を初めて聴いたのは、日本でのデビュー作にあたる前作『青い影』でした。
表情豊かな声は、スモーキーでありながら透明感をもっています。
息づかいさえ表現にくみこむ、そのテクニック。
豊かな声量を60%使い、余韻を残す余裕。
声を上昇させるときに、たまに使う独自のファルセットの巧さ。
こんなにチャーミングで、しかも自分自身のヴォイスをもっているシンガーは、ノラ・ジョーンズやメロディ・ガルドー以来でしょう。ライヴが見たいし、話も聞きたいと思っていたら、意外な早さで夢がかないました。
11月1日に行われる『ギンザ・インターナショナル・ジャズ・フェスティバル2010』での初来日公演前に、プロモート来日したのです。
しかも、第2弾『アフター・ダーク』をたずさえて。
◆ ◆ ◆
新作『アフター・ダーク』は、前作に比べるとヘイリーをさまざまな角度から写したプロフィール写真のように、多彩なコンセプトをもっています。
ジャズ、オリジナル・ナンバー、ボッサ、シャンソン、カントリー。カヴァーもスティーヴィー・ワンダーにジョニ・ミッチェル、トレイシー・チャップマンと、彼女のこだわりが聴こえてきます。
しかも、収録曲数が、日本盤のボーナストラック2曲を加えると計17曲も収録されているから、どこまでも盛りだくさんな印象の作品に。ここまで全貌を見せなくても、少し次作のためにマテリアルをとっておいたほうがいいんじゃないかしら。
インタヴューはそんなおしゃべりで始まりました。
ヘイリーは作品から受ける印象以上に明るく素直な女性で、若さで輝く頬を上気させて、首を振った。
「わたし、アルバムのなかでコントラストをだしたいんです。ハッピーな曲、悲しい曲に踊りだしたくなるナンバーを、まぜ合わせてくのが楽しい。
前作『青い影』はピアノ・トリオとわたしというシンプルな編成で、自分のスタジオでレコーディングしたものですから。
今作はナッシュビルで5曲レコーディングしてきたので、当初から多彩なものにしようという意志がありました。聴く方に、いずれかの曲でハマってほしいし、自分のこともカテゴライズしたくないのです」
あえて、自分自身をカテゴライズすると、どうなりますか?
「ジャズ+アルファ(jazz beyond)ですね。
幼い頃、ジャズばかり聴いて育ったんですが、それはわたしがアラスカ州シトカ島生まれなのと切り離しては語れません。島で唯一聴けるラジオ局が、ジャズ・ヴォーカルを多く流していたからなんです。
ナット・"キング"・コール、エッタ・ジェームス。ダイアナ・クラールが有名になった頃、わたしは10歳くらいで、彼女を聴きまくっていましたね。カサンドラ・ウィルソンも好き。
カントリーのパツィ・クラインも大好きでした。13歳でオレゴンに移ってからトップ40の洗礼を受け、サラ・マクラクラン、アニー・レノックスは大好きになった上、声域もほとんど同じだからよく歌いました。
ジャズが根底にあり、カントリーやブルーズ、ポップスをトッピングしたわたしの歌は、聴いて育った音楽からの影響を反映しています」
彼女は、その歌のスタイルは「聴いてきた音楽」でできたとも分析してみせました、
◆ ◆ ◆
ヘイリー・ロレンは、シンガーとしてもすばらしいですが、自分自身でアレンジやプロデュースをする才能をもったミュージシャンでもあります。
人生のゴールは「バランスのとれた人間になりたい」と語り、シンガーとしての目標は、次のように語りました。
「学び続け、クラフトを少しでもよいものにしていきたい。
ショーをするたびに学びがあるし、何より歌うことが喜びなんです。
歌っている時は、無心といいますか、自分ではないような感覚で、あとで聞き返してこんなことをしていたのかと驚くことがあります。自分を通して、何かが降りてくるような感覚でしょうか。
この声を授かった感謝を胸に、これからもずっと歌っていきたいと思います」
まずは、このアルバムの発表と来日公演が控えています。
キュートな笑顔で、「日本に両親を連れてきてあげたいんです」と語るヘイリーでした。







