Music Diary
[ 2008.12.12 ]
クリスマス・アルバムが豊作Vol.1 ハリー・コニック,Jr.
クリスマスが近づいてきました。
街にイルミネーションが灯る頃、レコード店の店頭にはクリスマス・アルバムが出揃います。
暮れの忙しさに目をつぶれば、心がうきうきして、街も華やいで、なんて素敵な時季なのでしょうか。
今年はクリスマス・アルバムが豊作で、何枚もこれぞ!という新作がリリースされています。クリスマス作評論家を自負するわたしとしては、このダイアリーでもシリーズでご紹介していきたいと思っています
今日はそのVol.1として、ハリー・コニック,Jr.と彼のビッグバンドのクリスマス作、『ホワット・ア・ナイト! -クリスマス・アルバム』のご紹介。
まず、このアルバムの「隠れ成功要因」からお話しますが、クリスマス作にはハッピーなオーラがぜひとも必要なのですが、その点、公私ともに幸福な日々を送る努力の人、ハリー・コニックからは苦もなく温かな光が放たれているのです。
彼がこのアルバム以前にクリスマス作を発表したのは、もう5年前になりますが、その『ハリー・フォー・ザ・ホリデイズ』では小さな子供たちと、まだ少年っぽさが抜けない新米パパが、楽しんでクリスマスを迎える、といった雰囲気がありました。
ニューオリンズ・ファンクになったクリスマス・ソングなんて、とっても愉快でしたものね。
それ以降5年間に、ハリーはミュージカルの成功にビッグバンドの定期的なツアーと精力的に活動し、ハリケーンで壊滅的な打撃を受けた故郷、ニューオリンズの救済活動にも、忙しい時間をさいてあたってきました。私生活では2人の娘さんも大きくなり、愛妻ジルとは相変わらず仲がいい。
今作のサプライズは、夏にレコーディングされた時には10歳だった長女ケイトちゃんが、〈イッツ・ビギニング・トゥ・ルック・ア・ロット・ライク・クリスマス〉でその可愛らしい歌声を聴かせていることなんです。
パパ・ハリーとの掛け合いの後、一人でぐっとジャズっぽくスウィングしてみせるのですが、その粋な歌いっぷりにちょっとびっくり。ハリーも父親につれられて、子供の頃からストーリーヴィルのジャズ街に出入りし、シットイン(飛び入り演奏を)していたといいますから、それにならって娘さんにも英才教育でしょうか。
でも、その趣向にいやらしさがないので(大人にこびる少女といった感じはないので)、聴く方もつい笑顔になってしまいます。とっても可愛いし、未来の大器という風格もあるのですが、やっぱり一番喜んでいるのはパパ・ハリーでしょうね。そのハリーの目尻が下がった顔が見えるところが、クリスマス・アルバムならではの魅力なのだと思います。
また、〈レット・ゼア・ビー・ピース・オン・アース(地球に平和あれ)〉と、ラスト・ナンバーの〈ソング・フォー・ザ・ホープフル〉をキム・バレルとのデュエットで仕上げ、後者にはゴスペル・クワイアも加えてクリスマス気分をもりあげています。
と、こんな風にオリジナル・ナンバーをたっぷりふくんだ、バラエティに富んだクリスマス曲が15曲収められ、(ちょっと大人になった)ファミリーで楽しめる作りになっているのが、『ホワット・ア・ナイト! -クリスマス・アルバム』なのです。
音楽的に最もリマーカブルだった変化は、ビッグバンドやストリングスのアレンジを妙に凝らなくなったこと。前は、「こんなこともできます」風に、凝りに凝っていた。でも、今作はウィズ・ストリングスにしろ、楽しいスウィング感で愉快な気分にさせる曲にしろ、どのアレンジも直球勝負。そこが素晴らしいのです。
また、チャイコフスキーの〈こんぺいとうの精の踊り〉をとりあげていますが、これはある種新機軸で、「くるみ割り人形」からの同曲を、楽しくアレンジしインストゥルメンタル(楽器演奏だけ)で聴かせます。
このシーズンのヘビロテまちがいナシの1枚ですが、次回もまたすてきなクリスマス・アルバムをご紹介しますのでね。今年は、まだまだ続きます(にんまり?)。

ハリー・コニック,Jr.
『ホワット・ア・ナイト! -クリスマス・アルバム』
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
SICP-2124
2008年11月26日発売
※ 権利者の許可を得ずに、複製することを禁じます。







